脱炭素ってなんだろう?
最近ニュースで聞くようになった「脱炭素」ってなんだろう?
脱炭素とは、化石燃料の利用を減らしてCO2をはじめとした温室効果ガス排出を実質ゼロにしていこうとする動きのことです。温室効果ガス(リンク)排出が実質ゼロに保たれた社会のことを「脱炭素社会」といいます。
それでは、なぜ今「脱炭素」が積極的に叫ばれるようになったのでしょうか?それは最近ニュースを騒がせている「気候変動問題」がポイントになっています。
気候変動ってなんだろう?
気候変動とは、気温と気象のパターンが長期的に変わることを指します。気候変動を引き起こす原因は、自然的な要因のほか人為的な要因もあります。自然的な要因は、例えば海洋の変動、火山噴火による大気中の微粒子の増加、太陽活動の変化などがあります。
しかし、近年の気候変動の主な原因は人為的なものとされています。その内容は、温室効果ガスを発生させる化石燃料(石炭や石油、ガスなど)の燃焼や、森林破壊などとされています。
温室効果ガスが大気に放出されると地球表層の温度が上がり、気候変動がおきます。気候変動がもたらす問題は気温や海水温の上昇です。
気温が上がるってこと?暖かくなったら南国みたいで最高じゃん!
ところがどっこい…
温暖化により気温が上昇すると、南極などの氷河が解けたり海水が膨張することにより海水面が上昇し水没する地域が発生します。また、異常気象の頻度が増え、程度は酷くなり、自然生態系や生活環境、食糧生産などへの被害が大きくなると考えられています。
2022年のパキスタンでは豪雨や熱波、そして氷河の融解により大規模な洪水が発生しました。洪水では国土の3分の1が水没し、死者は1,600名を超え、全人口の約15%にあたる3300万人以上が被災しました。また、パキスタン政府は洪水による損失は400億ドル(日本円に換算すると約5.2兆円以上(※2023年4月7日のレート131.57円で計算))と見積もっています。
金額が大きすぎてあまりピンときませんが、これは赤ちゃんを含めた日本の全人口がそれぞれ約4.1万円以上のお金を出すことでやっと達成できるほどの金額です。どれだけ金額の規模が大きなものか想像しやすくなったでしょうか。(※日本の人口を1.257億人で計算)
災害によってマイナスになった町や人々の生活をゼロに戻すためにはこれだけの金額が必要なんだね。
本来ならマイナスになった生活をゼロに戻すのではなく、生活を豊かにするためにこれだけのお金を使いたいよね。
そうだね。もちろんお金のことだけじゃくて、未来の被害者を減らすという観点でも環境のことを考えるのが大事だね。
ちなみに、上記のリンクは2022年9月1日のYahooニュースです。以下引用のとおり、世界各国で異常気象の目立った年でした。
インド北部:3月中旬から高温に。5月中旬、ウッタルプラデーシュ州では50度近い気温を観測。平均降雨量は観測史上3番目に少なく水不足が深刻に。
南アフリカ共和国東部:クワズールー・ナタール州のダーバン周辺で4月11日から数日にわたり豪雨が続き洪水に。約4000戸の家屋が全壊し400人以上が死亡。
ブラジル北東部:5月、集中豪雨の影響で洪水や土砂災害が発生。約4000戸の家屋が崩壊し106人以上が死亡。
インドアッサム州:5月、豪雨により洪水が発生。約70万人に影響。
ノルウェー:6月、ノルウェーのバナクで北極圏としては異例の高温。32.5度を記録。
オーストラリア:7月、シドニーで豪雨が4日間続き洪水が発生。
英国:7月15日、気象庁は「非常事態」に相当する最高レベルの「異常高温警報」を初めて発令。ロンドンを含むイングランド中南部で「命が危険にさらされる暑さ」になると警戒を呼び掛けた。
米国:干ばつが慢性化。また、ミシシッピ州で7月末、東部を襲った豪雨による洪水で少なくとも36人が死亡。
アフガニスタン:8月に発生した洪水による死者が180人以上に。
中国:四川省から長江デルタ地域の上海市まで7月から猛暑。長江南岸にある鄱陽湖は例年に比べ表面積が4分の1に縮小。
ヨーロッパ:欧州委員会は8月23日、過去500年で最悪の干ばつに直面していると指摘。内陸部での船舶輸送や発電、一部作物の収穫量に影響が出ている。フランス、スペイン、ドイツ、ポルトガルなどで気温が40度近くになり各地で山火事が発生。
https://news.yahoo.co.jp/byline/hashimotojunji/20220901-00313041
気候変動の仕組みについて
気候変動の原因物質である温室効果ガスはCO2(二酸化炭素)だけではなく、メタン、一酸化二窒素、フロン類などの種類があります。温室効果ガスは地表から発せられる赤外線の吸収や放出を通じて地球を温めます。
また、皆さんは大気中に含まれているCO2の割合はどれほどか知っていますか?その量は数値にして約410ppm、割合としては約0.041%程度しかないのです。
メタンなどはCO2よりもさらに少ない量しか含まれていません。しかし量は少なくても温める効果はCO2以上に強力です。これらのCO2をはじめとする温室効果ガスが増えると、温暖化がさらに進行していきます。そして、もし仮に世界の平均気温がわずかに2℃上昇しただけでも気候は大きく変化すると考えられています。
約2万1000年前のCO2濃度は、約180ppm程度だったと推定されています。そこから上昇し1850年頃には約280ppmとなりました。しかしその後約170年ほどで現在の410ppmまで上昇しており、その結果、地球の気温は工業化前(産業革命前)と比較してすでに1.09℃上昇しています。
パリ協定ってなんだろう?
なんか大変そうなのは伝わったんだけど、世界の平均気温が1℃上昇ってあまりピンとこないというか…。たった1℃変わっただけでそんなに影響があるものなの?
たった1℃でも影響は大きいと考えられているんだ。あとで説明するけど、「ティッピングポイント」が気温上昇1.5度前後にあるのではないかと懸念されているからなんだ。
皆さんはパリ協定についてご存知でしょうか?パリ協定とは、 2015年に採択された「2020年以降の気候変動問題に関する取り決め」です 。
ん?2020年以降?…ってことは、2019年以前は特に何も制約が無かったんだ?
違うよ。パリ協定の前には1997年に採択された京都議定書という国際条約があって、この中で「2020年までの気候変動問題に関する取り決め」が定められていたんだ。
そうなんだ!じゃあ京都議定書が全てのはじまりだったんだね?
それも違うよ。京都議定書のおおもとになったのは1992年の「地球温暖化防止条約」なんだ。でも気候変動に関する全てのはじまりは1972年にまで遡るよ。これから詳しく見ていこう。
時を遡ること約50年。1972年に世界の有識者が集まり、「成長の限界」という報告書を発表しました。これは「人口増加や工業発展がこのまま進行した場合、地球上の天然資源は枯渇し、環境汚染がどんどん進行していく」という内容でした。
これが大きな契機となり、国際的に環境問題が注目されるようになりました。そして同年、ストックホルムで開催された「国連人間環境会議」において「人間環境宣言」が採択され、各国連携した対応が始まりました。
1980年代になると、地球温暖化問題などの地球環境問題が注目されるようになりました。これを読んでいる方の年齢によっては、気候変動と言われてピンとこなくても、「地球温暖化」と言われると馴染みのある方もいるかもしれませんね。
そして、一般的に地球温暖化のリスクが認知され始めたのは1980年代の末になってからでした。ここでも地球温暖化自体に懐疑的な目を向ける層がいたり、温暖化対策の費用に否定的な意見があり、実際に対策を始められるまでに約20年間を要しました。
なんでそんなに時間がかかったんだろう?すぐに温暖化対策をすればよかったのに!
CO2をはじめとした温室効果ガスなんかはいずれも目視できないからね…。原因となる物質は目に見えないし、この「原因」と地球温暖化などの「結果」が結びついていると初めから納得するのは難しいかもしれないね。
そして、1992年にブラジルのリオデジャネイロで「地球サミット」という国連の会議がありました。ここで初めて「地球温暖化防止条約」という条約がつくられました。ただし、ここではまだ「各国地球温暖化を防止していこう」という大枠が作られただけで、温暖化対策に関する具体的な施策は定められていませんでした。
そこで、1997年に京都議定書が採択されました。これは2020年までの温暖化対策の目標を定めたもので、1992年の「気候変動枠組条約」に基づく具体的なルールを定めるものとして採択されたのです。この京都議定書の大きな特徴としては、ルールを守る義務があるのが当時の先進国のみだったということが挙げられます。
京都議定書でルールを守る義務があるのは先進国のみだったんだね。
当時の先進国は化石燃料をたくさん利用していたからね。
せっかく京都議定書で具体的なルールを定め各国目標に向けて活動していましたが、これは2020年までという期限付きの内容だったため、改めて新しい内容を定める必要がありました。
それで2015年に採択されたのがパリ協定なのです。パリ協定は2020年以降の気候変動問題に関する取り決めで、世界共通の長期目標として、「気温上昇を工業化前の水準から2°より充分下方に抑えさらに1.5°まで抑えるように努力する(1.5℃目標)」としています。この協定に開発途上国も含めた全ての国が、温室効果ガス排出削減目標を定めることに合意しました。
今度は先進国だけじゃなくて、途上国を含む全ての国が協調していくことになったんだね!
そうだよ。京都議定書では途上国に削減義務がなかったから、参加国の間で不公平感が生じてしまったんだ。それが一因となって、京都議定書は当時最大の排出国であったアメリカが同意せず問題になったんだ。
途上国も先進国並みに削減しろってことになったら大変じゃない?
パリ協定は京都議定書と比べると緩いんだよね。パリ協定では温室効果ガスを減らす計画をたてようとは言ってるんだけど、その目標を達成するのは義務とはされていないんだ。
なんか釈然としないというか、真面目な国だけが損しそうな感じというか…。でも削減計画をたてるぶん、何もしないよりは良いのかな?
パリ協定では、各国の目標(NDC)は、国々が独自に決めることとしたので設定基準も目標水準もバラバラです。また、中国インドなどの新興国開発途上国ではGDPの伸びなどに対して削減するとした国が多く、もしこの目標を達成できたとしても排出量は当分増え続ける見込みです。
実は、全ての国の目標を積み上げてもこの「1.5℃目標」を達成できる削減量に満たないため、国連は各国へ目標を引き上げを促しています 。
1.5℃目標の達成見込みは今のままでは厳しいという見通しが出てるらしいね。
これには中国やインドなどCO2排出量が増える国の影響があるんだよ。こうした国々は「先進国は長年温室効果ガスを大量に排出して経済成長してきたのに、それと同レベルの削減目標を求めるのは不公平ではないか?」という主張もあるみたい。
たしかにその不公平感はありそう…。それに加えて、人口の多い国はそれだけ削減するのも大変だろうね。このような情勢の中で、各国更なる削減努力を求められているんだね。
気候変動で起きうる災害
先述のとおり、地球の気温が上がると南極などの氷河がとけるほか、海水温上昇による海水膨張で海水面が上昇するため水没する国や地域がでてきます。
その一方、乾燥化が進む地域では水資源が枯渇したり、干ばつにより食糧生産が難しくなる土地が増えると考えられています。大雨の多くなる地域では水害が増えて、住める場所や農地にできる場所が減ることも考えられます。気象災害によりその土地や農作物が減ってしまうと、争奪のための紛争増加も懸念されます。また、今住んでいるところに住めなくなると、避難や移住を余儀なくされる難民が増加することもあり得るでしょう。
また、温暖化が進行し熱波襲来の回数が多くなれば熱中症が増えるだけではなく、マラリアなど熱帯性の病気が拡大することも考えられますし、永久凍土が解けて未知のウイルスが現れることなども懸念されています。
また、気候変動は経済にも大きな影響を与えます。例えば農林水産省の「令和2年度食料・農業・農村白書」によると、2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨」により、広範囲で河川の氾濫による被害が発生し、農林水産関係で約2,208億円の被害額が生じました。他にも台風などによる被害が発生したことから2020年に発生した主な気象災害による農林水産関係の被害額は2,473億円にものぼりました。
農林水産業関係だけでもこれだけの損失を生み出したんだね…。
あれ?そういえば大昔の地球には氷河期があったんだよね?いま僕たちが地球で暮らせているのは氷河期が終わったから、つまり温暖化したからだと思うんだけど…。温暖化って悪いことじゃないんじゃない?
温暖化自体が悪いというより、近年人間が引き起こした「急激な温暖化」が特に問題ありって感じかな。
実は、地球は約10万年ごとに温かくなったり寒くなったりを繰り返しています。
ここ1万年ほどは、気温の上下動が少ない安定した気候が続いていました。気候が安定することで人類は安心して定住生活を行うことができ、文明を築くことができたと考えられています。
しかし、近年の急速な温暖化に伴い今後は気候の安定性が崩れる可能性があります。これは極端な気象現象が多く予測のつかない気候になる恐れがあるということです。ちなみに、株式会社ウェザーニュースが公表している資料によると、時間降水量50㎜以上の「非常に激しい雨」はここ30年で約1.3倍に、時間降水量80㎜以上の「猛烈な雨」は約1.7倍に増加しているそうです。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第4次評価報告書によると、「長期的に地球規模で降水量が増加傾向にある。これは温暖化による昇温や観測された大気中の水蒸気量の増加と整合している。」と述べられています。つまり、ここ数十年で観測されるようになった異常気象は、温暖化と関係があると見ているのです。
温暖化と気候変動は関係があるって証明されてるんだね。
現在はまだ序の口で、このまま温室効果ガスを排出し続けるとさらに気候変動が進むとされているんだよ。
実は気候変動が一気に進む恐れがある転換点のことを「ティッピングポイント」と言い、そのポイントが気温上昇1.5℃前後にあるのではないかと懸念されています。なので、1℃の上昇でも大問題なのです。
温暖化で気候変動が起きることは明らかで、気候変動で起きうる災害は水害や干害だけでなく資源を巡る紛争なども懸念されていて、その気候変動が一気に進む恐れのあるポイントが「気温上昇1.5℃前後」にあるとされているから、世界の平均気温がたった1℃でも上昇すると大問題なんだね。やっと話がつながった!
そうだよ!
化石燃料ってなんだろう?
化石燃料について理解していた気でいたけど、よくよく考えるとあまりわからないかも。
普段現物を直接目にすることはあまりないからピンときづらいかもね。化石燃料は「石炭」「石油」「天然ガス」の3種類だよ!
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名称 | 石炭 | 石油 | 天然ガス (LNG(※1)) |
キャッチコピー | 量が多く安定供給ならピカイチ | 燃料からプラ製品まで!変幻自在な化石燃料 | 比較的クリーンな化石燃料 |
状態 (常温常圧) | 個体 | 液体 | 気体 |
用途 | ・火力発電の燃料 ・鉄鋼の原料 | ・火力発電の燃料 ・車などの燃料 ・プラスチック製品の原料 | ・火力発電の燃料 ・都市ガス |
コスト (1kWhあたり) | 12.3円 | 30.6~43.4円 | 13.7円 |
メリット | ・量が多く供給が安定 ・安価 | ・使い道が多い ・替えの効かない唯一無二の存在 (ガソリンやプラ製品の原料など) | ・化石燃料の中では大気汚染のリスクが比較的小さい |
デメリット | ・大気汚染の原因になる (※2) | ・他の化石燃料と比較し高コスト ・大気汚染の原因になる (※2) | ・大気汚染の原因になる (※3) |
使用開始時期 | 18世紀前半 木炭に代わり使われるようになった。 | 19世紀後半 アメリカやロシアで油田の発見が相次ぎ使われるようになった。 | 1950年頃 国内での本格的な普及は戦後から。 |
※1 液化した天然ガスをLNGという。
※2 SOx(イオウ酸化物)、NOx(ちっ素酸化物)、ばいじん(すすや燃えカス)などを排出する。
※3 他の化石燃料と比較し少ないとはいえ、燃焼するとCO2などを排出する。
こうして比較すると全然違うもんだね。
また、パキスタンでは2023年現在深刻なガス不足が起きています。原因と指摘されているのがLNG=液化した天然ガスの輸入の流れの大きな変化です。これの背景にはEU諸国の燃料輸入方針の転換があります。
JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)のデータによると、2022年の1年間でヨーロッパが輸入したLNGは1億2100万トンほど、前年の約1.6倍に急増したということです。
この急激な変化を引き起こしたのが、2022年2月24日より続くロシアからウクライナへの軍事侵攻です。軍事侵攻以前、ヨーロッパはロシアから大量の天然ガスを輸入していました。EUとロシアは複数の天然ガスパイプラインで結ばれており、タンカーで運ばれるLNGよりも安価に得られるエネルギーだったためです。ロシアからの天然ガス供給への依存度はEU平均で24%もあり、多い国ではドイツが37%、イタリアが29%ほどありました。
ウクライナ侵攻でロシアに天然ガスを頼れなくなったEU諸国が、アメリカなどからのLNGを輸入したり、ノルウェーからのパイプライン経由での輸入を増加したため、パキスタンを含む各国のエネルギー調達構造が歪になってしまったのです。
改めて、ロシア侵攻の影響がウクライナにとどまらないことを実感したよ。
いろいろな形で世界中に影響を及ぼしているね。
日本の課題
国内で排出される温室効果ガスって、何から排出されるものが一番多いと思う?
えーっと…呼吸の際に排出されるCO2かな?日本の人口は約1億人もいるし!
ハズレ。答えはエネルギー起源のものだよ!例えば火力発電などの際は化石燃料を燃やしているんだけど、この際に排出される温室効果ガスの割合が日本国内では多いんだ。
日本で排出される温室効果ガス排出の約85%がエネルギー起源のCO2と言われています。
また、日本でのエネルギー供給に関する課題で「安定供給」についても欠かすことができません。
日本はエネルギー自給率の低い国です。自給率の低さにはいくつか要因がありますが、大きな原因は日本国内にエネルギー資源が乏しいことが挙げられます。日本のエネルギーは石油・石炭・天然ガス(LNG)といった化石燃料に大きく依存しており、そのほとんどが海外からの輸入しているものです。2019年度の化石燃料への依存度は84.8%となっています。
日本は中東や東南アジア、オーストラリアなどから化石燃料を大量に輸入し、その支払いのために毎年約15~20兆円のお金を払っています。化石燃料価格が高騰すれば流出額がさらに増えますし、(先ほどのパキスタン?の事例のように)国際情勢に影響されてエネルギー供給が途絶えるリスクもあります。
また、現在の日本の原油輸入量は1日当たりどれくらいの量になるかご存知ですか?答えは1日に約300万バレルという膨大な量です。
バレルとは原油の量を表す単位で、1バレルで約158リットルとなっています。おおよそですが、家庭用の浴槽に7分目くらいまで入れた量が1バレルに相当します。約300万バレルというのはリットルに換算すると約4.7億リットルになります。この原油を精製して製品化したものを一般に石油(石油製品)と呼んでいます。
それでは、この300万バレルの原油、日本国内で使い切るのに大体何日かかると思いますか?
答えは約1日です。これだけ膨大な量を約1日で使い切ってしまうのです。
もちろんこの量を全て発電に使っているわけではなく、ガソリンなど自動車や船舶、飛行機などの動力源や、洗剤・プラスチックなどの化学製品の原料としても使われています。
様々な用途で利用されている原油の輸入が1日でも途絶えたら大問題になります。日本にとってエネルギー資源の安定調達は大きな課題であり、輸入先の多角化や国産エネルギー資源の拡大を目指しています。
私たちにできること
あなたは家で何にどれくらいのエネルギー(電気など)を使っているかわかりますか?
エネルギー使用状況を計算して可視化すれば、エネルギーの無駄を省いたり、合理的に使うことができるようになります。また、 省エネ投資すべき設備も見えてくるかもしれません。
例えば最近売られている冷蔵庫はエネルギー効率が良くなっているので約10年前(2010年頃)のものと比較し約40%の省エネ、電球系LEDランプは一般電球と比較し約85%の省エネとされています。エネルギーの無駄をなくし、利用効率を良くすることで家の中から省エネを意識するのが環境のための第一歩になるでしょう。
よーし!省エネのために給湯をきってシャワーを浴びるようにしよう!
極端すぎるよ!風邪ひいちゃうって!まずは少しずつ、無理なくできることから始めていこうね。